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今藤 長龍郎 × 今藤 美治郎

同門の先輩と後輩、作風はちっとも似てないけど
どこか共通のものが流れているように思うよね

  • ―同じ今藤で活躍されているお二人ですが、芸風・創作ともに曲の雰囲気は全く違いますね。
  • 美治郎

    健ちゃんは洋楽をやっていた経験が活かされているからじゃない?

  • 長龍郎

    ピアノをやっていましたが、創作では叙情的に作るのが難しいですね。はじめはピアノで作ったんですけど、三味線で弾くと面白くなかったり、実際に弾けなかったり。新しいメロディや三味線の手順であっても、実際に三味線に乗っかったときにどうなのかっていう壁はありました。

  • 美治郎

    やっぱり三味線とピアノでは余韻が違うし、三味線の楽器そのものの響きで聴かせられる音、ポジションというのはあるから。僕も最初は新しいことを考えなくちゃいけないと思っていたけど、全く出てこないということが分かったので(笑)、もう普通の手で作ろうと。組み合わせや並べ方の違いでバラエティに富んだ曲になると思うし、その普通の手が大事じゃないのかなって。それで引き出しが多くなればいいと。

  • 長龍郎

    器楽曲の場合、どれだけ自分の頭の中ではこうだ、ああだと思っても、聴き手のお客様方には曲名と作曲者のコメントだけでイメージして頂くことになるんで。5分や10分の曲のどこか一箇所でもいいんです、風景が見えたとかいう瞬間があればいいなあといつも思いますね。

  • 美治郎

    健ちゃんの「ストーリーを設定する」っていう作曲法、色々出て来るから良いんじゃない?ちょっとした組み合わせで面白くなるから大事なのはリズムとメロディーの組み合わせ方なんだろうね。楽しく気持ち良く聞いてもらえれば良いなとはいつも思う。僕はわりと古典ぽいというか、先代家元の様に素敵な空気感があって品の良い曲が出来たらなと思いますけど、最近は昔話を基にした曲を作っていて、分かりやすく伝われば良いじゃないかという所に落ち着いたかな。昔話の中でもちょっとトンチが効いている様なものが面白いと思って作ってますけど、どうしてもセリフが多くなってしまって、だからお囃子で色々アレンジしてもらったり、変化をつけてもらったりして。健ちゃんは器楽曲の掛け合いの妙とか、リズムの変化を生かした合奏曲も作れるから、羨ましい。

  • 長龍郎

    このプログラムが出ている頃には勿論本番ですので、曲は出来上がっていると思いますけど、相当悩み、作るんじゃないかなと思いますね。

  • ―精神的・技術的にはどのように変化していきましたか?
  • 長龍郎

    作るプロセスが分かってきた反面、一方で冒険できなくなっている自分というのもいて。創邦の最初の頃は、相当悩んで作ったなっていうのがあって。

  • 美治郎

    精神的には最初の、ものすごいストレスは大分やわらいだかもしれない。この頃は、創作の良さと古典の良さ、両方のバランスが大切な気がしますね。

  • ―創邦21の将来についてお互いの方向を教えて下さい。
  • 美治郎

    この会に参加させて頂いて有り難いのは、古典がどの様に作られたか考えたり、古典の良さを再確認出来る様になった事や、自分の作品が生まれる喜びを感じさせてくれた事ですね。これからも自分をもっと追い詰めて、良い曲を作って行きたいと思います。

  • 長龍郎

    創邦っていうのは試練の場所と思っていて、公演のたびに自分の引き出しが増えて、一つは小さく微々たるものであっても、これが5年10年ってなったときに、自分で前進していたいなと思うので、その場所として創邦21という場所を大切にしたいですね。同人の皆様の作品を聴かせて頂く場でもあるし、同人の方々の作品も刺激として吸収していきたいですね。

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