創作Q面 創邦11面相

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ヨミモノ

今藤 政太郎 × 杵屋 巳太郎

※杵屋巳太郎は現・杵屋淨貢ですがプログラム掲載時のまま表示しております。

年長組もたじたじ、でもうれしいよね、昔は若かったね

  • 政太郎

    ずい分長いお付き合いだね。

  • 巳太郎

    そう、もう56年になるナ。昭和29年12月今藤長十郎先生の八重洲口の稽古場が初対面。先生は39歳だった。

  • 政太郎

    当時は名人達人が綺羅星のごとくご活躍なすってた頃だけど、先生ももちろん一流の名人でいらしてね。

  • 巳太郎

    「知性の王城」と呼ばれて。だって、邦楽全般、洋楽、演劇、文学、美術、スポーツ全般、何より色事、後には堅い陶器まで全てに達人名手と呼ばれる巾の広い先生だった。

  • 政太郎

    初めて会った時、僕は長屋のお坊ちゃん、対してあなたは山の手の良家のインテリ青年。何より三味線を弾く右手のアタックの凄まじさ!こいつは只者じゃない!!と強く思ったよね。

  • 巳太郎

    いや私はね、凄い奴がいるもんだなと必死で練習した。練習をやめようと思うと、あいつはまだ練習 してるに違いない、とやめることが出来なかった。追いつき追い越せとずっとやっていたけど、出来ずに今日まで来ちゃったと思っているんだよ。

  • 政太郎

    とんでもない、それは謙遜だよ。

  • 巳太郎

    しかし二人でよく稽古したね。

  • 政太郎

    そう、『三曲糸の調』の追間のところ。京都の僕の父の家で。

  • 政太郎・巳太郎

    「掛声かけるな」「撥見るな」「背中合わせになれ」「隣の部屋で襖を閉めろ」。

  • 巳太郎

    そのくせ今は芸風が違う。

  • 政太郎

    根本のところは同じ原理で考えてるみたいだけれども。

  • 巳太郎

    あの頃がなければ、今はないかも知れないね。

  • 政太郎

    同感。またよく一緒に遊んだしね。この写真見てよ(上写真)、皆でスキーに行った時のもの。巳太郎さんはヤッケ、僕はネクタイにオーバーコート。僕はずい分あなたに社会ルールを教えてもらったよ。

  • 巳太郎

    いやいや育った環境が違っただけで、私も政太郎さんの考え方にはかなり感化されたと思う
    ―それで、創邦21の前身「創作邦楽研究会」だ。

  • 政太郎

    創立が東京オリンピックの年の昭和39年。

  • 巳太郎

    創立演奏会が上野の文化会館大ホール。今藤長十郎(三世)、藤舎呂船(四世)、常磐津文字兵衛(四世・現英寿)、清元梅吉(四世)、米川敏子(先代)…

  • 政太郎

    それに当時若手の我々も含めて総勢60人を超えるメンバーでの大演奏会だった。

  • 巳太郎

    この第一回の会名が『創作邦楽の展示』。つまり創作の世界では作曲者が自由に発表することが大事だと。口を出すことは私はしないよという、先生の確固たる意思表示だったのです。

  • 政太郎

    だから一回目から、多人数での合同演奏曲『ふるさと紀行』で、僕ら各々編曲を任せて頂いて。

  • 巳太郎

    思い通りの発表をさせて頂き、

  • 政太郎・巳太郎

    大いなる自信となった。大きな勉強をさせて頂いた。先生に感謝だね。

  • 巳太郎

    あれから30年近く経ってこもごも創作邦楽研究会のことを思い出話にしながら、

  • 巳太郎

    ああいう会を作るのは私らの義務だねと話が弾んで、

  • 政太郎

    誰を同人に誘おうかと云って今のメンバーの殆どが出揃ったんだね、それと文芸同人。

  • 巳太郎

    そこに考えがいったのが良かった。素敵な人達が集まったね。

  • 政太郎

    それから3年間、各自の作品の録音を持ち寄って合評会を続けたことは、とっても良かった。

  • 巳太郎

    その時の勉強の成果が後々につながったものね。

  • 政太郎

    その合評会で巳太郎さんが一回聞いただけで!!あそこはネェと的確に指摘したのは、正直驚きだった。僕は譜面と首っ引きにならないときちんと言葉にならなかった。

  • 巳太郎

    その代わり政太郎さんは細かいところまで具体的に指示が出来たから。

  • 政太郎・巳太郎

    両様の聞き方が出来てよかったかもね。

  • 巳太郎

    創作においてよく「作風」というけど、全く自由に作る場合はそれぞれが色々な「作風」を持っているわけだよね。

  • 政太郎

    若い時のそれこそ『展示』の頃もそれぞれの色がよく出ていた。

  • 巳太郎

    でも未熟だった時代だよ。 政太郎 創作はテクニックでなく取り組みが大事だから、未熟でも新鮮ならいいと思うよ。

  • 巳太郎

    成程。あなたの曲はいつも新鮮で。

  • 政太郎

    ありがとう。巳太郎さんは歌舞伎でお仕事なさるから、古典の型を大事に折り目正しくて。

  • 巳太郎

    そう、歌詞読んだだけでその動きがすぐ読めちゃうから、曲の寸法やテンポも決まるし手法も耳ざわりの良い方を選ぶのだナ。

  • 政太郎

    創邦での発表が一層楽しみになるね。

  • 巳太郎

    今回も面白いテーマをもらったからがんばります、ありがとう。なにしろ今度で10回目。皆の作曲への思いもかなり高揚してきて嬉しいね。

  • 政太郎

    作曲に対するスタンスも、言ってみれば、やや先鋭的な栄吉さん長龍郎さん、中庸の米川さん福原さんと政太郎、古典的な巳太郎さん美治郎さん政貴に忠一郎さんと、中中いいバランスだと思うね。

  • 巳太郎

    これから先、ますます充実してそれぞれにスター性を持ち合わせるようになれば素晴らしいね。

  • 政太郎・巳太郎

    期待しようね。

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