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第18回 創邦21公開講座「創作のキモ」レポート

シリーズ 古典名曲を深掘りする③
今だからこそ『吉原』雀

長唄「吉原雀」教草吉原雀 明和5年(1768)冨士田吉治・杵屋作十郎作曲
清元「吉原雀」筐花手向橘 文政7年(1824)初代清元齋兵衛作曲

吉原雀 ~ 長唄 vs 清元

福原 徹

この「創作のキモ」も、今回で18回目を迎えた。
お蔭様で満員のお客様、大盛況。

  今回はタイトルの通り、長唄と清元の「吉原雀」を取り上げ、両者の聴き比べ、そして創邦21『創作のキモ』限定オリジナルバージョンの演奏、というプログラム。
今藤長龍郎、今藤政貴、清元栄吉の三同人に加え、スペシャルゲストの清元國惠太夫氏が生演奏。聞き手・進行役は金子泰同人。
構成は清元栄吉同人。

この曲は、「喜撰」のように、もともと掛け合いなどの曲として一緒に創られたものではなく、全く別の曲であり、創られた時期も離れている。
チラシのコピーには「ほとんどおんなじ曲だからこそ(ぜんぜん違う部分もあるのですけど)、違いの分かる長唄と清元。」とある。

  前半では、両者から歌詞がほとんど同じ何箇所かを切り出して、長唄と清元のそれぞれで演奏。その違いを耳で確かめる。
ほとんど同じ、という印象の部分もあれば、雰囲気がかなり異なる部分もある。
さらに、歌詞の違う部分、清元の「吉原雀」の方にだけある部分として、チョボクレが入って音楽構成上の大きな違いのある箇所も聴いた。
歌詞にある「放生会」の由来などの話では、ゲストの國惠太夫氏が同人達もたじたじとなるような?博学ぶりを披露。
そのほか、調子の選択や、ここはどちらが真似をしたと思うかというような話が、双方の演奏家からいろいろ聞けたのも面白かった。

  筆者自身、この2曲はいずれもあちこちで笛を吹かせていただいているが、これまで両者を並べて比較したことはなかった。
こうやって少しずつ切り取って聴き比べてみると、この曲の両者の違いのみならず、長唄と清元の具体的な違いというようなものも、少しずつ見えてくるように思える。

後半は、いよいよ2つの曲をミックス・アレンジした、今回初演のオリジナルバージョンの演奏。こちらは途中で止めることなく通しで演奏されたが、これは聴き応えがあった。清元栄吉同人がアレンジを担当したとのことだが、それぞれの「美味しいところ」をうまくつなぎ合わせているのだが、変化があり、しかも全体としての長さも大きすぎず、とても面白かった。
筆者としては、長唄の唄方と清元の浄瑠璃方が声を合わせたときの厚み、そして長唄三味線方と清元三味線方によるスガガキも、聞けて良かったと感じた。
会場には日本舞踊の舞踊家も数名お見えだったが、このバージョンで踊りたいという人もあるのではないかと思う。

  お客様との質疑応答も、大変なごやかながら充実。
今回の「創作のキモ」は、言葉による詞曲分析を無くして、ただ「聴いてみる」ことに特化したものに設えていた。結果、最初から最後まで、創邦21ならでは!という企画となった。

何はともあれ、
猛暑の中をはるばるご来場頂きました皆さま、本当にありがとうございました。

(2025年8月20日 於 アコスタディオ)

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