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『泣き虫日記』

今藤 政太郎

 いっこうに収まる気配のない新型コロナの猛威、こんな時に外国人をお招きしてオリンピックを強行していいのだろうかなどと考えている時、苦しい白血病とのたたかいに打ち勝って、オリンピックに向かって見事にカムバックした池江璃花子選手の崇高な再起を見た。
そのニュースを見ながら思い返されたのは、十二代目市川團十郎丈がパリ・オペラ座公演を成功されたことであった。

 團十郎丈は、日本の伝統文化への尊厳と誇り、市川團十郎という名跡への義務感等に突き動かされ、想像を絶する治療に耐え、精神力と知力の限りを尽くして克服され、日本の伝統文化の素晴らしさをヨーロッパの人々に存分に披瀝してくれた。
 けれども有り余る魅力と芸の可能性をそのまま遠いところへ持っていってしまった。
僕ら日本の伝統文化に携わっている者は、團十郎丈の思いを少しでも担って行かなければと思いながら、またまた目頭が熱くなってしまった。

 池江選手の復活をお祝いし、前途をお祈りしている。明るいニュースなのに、泣き虫で、これが困る。

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