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創邦の例会 見たままに・・・

谷川 恵

創邦21では月に一度、同人が集まって意見を交換する例会が持たれています。
私が、この例会に参加するようになったのは、2009年の夏から。このときは、まだ同人ではなく見学者、オブザーバーとしての参加でした。
夏のある日、渋谷で政太郎同人と待ち合わせ、連れていただいた先は明治通沿いのビルにあるオフィス内の会議スペース。ご挨拶もそこそこに、2009年10月に行われる第9回作品演奏会に向けて事務的な討議が始まりました。
洋服姿の邦楽演奏家が渋谷のオフィスに集まっているのも意外でしたが、年功や序列が重んじられる伝統の世界の住人である同人の方々が、ここではベテランも若手も等しく一同人という立場で参加、発言され、なにごとも合意が得られるまで話し合い、意見を交わしていることに衝撃を受けました。
年長者が強権を発動することもなければ、なあなあの仲良しクラブでもなく、個と平等を尊重する近代的な意識のもと発言がなされ、それが会の運営にも浸透しているようでした。
こんなところ他にはないぞ。そう思った私は、とりあえず演奏会が終わるまでオブザーバーを続けさせていただくことにしました。
思えば、その時点で創邦21に魅力を見出したようで、私の例会通いが始まります。
例会は昼になされることもありますが、先まで予定の決まった演奏家の方々が万障繰り合わせて参加されるため夜に行われることも多く、ときに深夜に及びます。
仕事ではなく、いえば道楽に類することのために、忙しい同人が揃うのも驚異ですが、そこには芸術家として自分の世界を表現したい、表現の場を持ちたい、という強い意欲が基底にあるのでしょう。皆さん真剣ですが、同時に楽しんでいる様子もかいま見られます。
議題は事務的なことに限らず、演奏会やプログラムの内容についても話し合われます。こうしたことは比較的制約が少なく、自分たちで決められることが多いですし、なにより自分たちの表現を世に問う機会ですから、いきおい夢や理想、希望を述べることとなり、真剣な中にも遊ぶ芸術家の魂といいますか、躍動する心にふれる思いがして、末席の私まで創造の一場面に立ち会っている気持ちになります。
かくして迎えた演奏会の終演後、創邦21への参加の意思を尋ねられ、はいと答えて、私も同人に加えていただき、現在に至ります。

議論は方向性が見えるまで続けられます。窓の外には夜の渋谷が。
制作会社の会議スペースをお借り しているので、後ろには過去の舞台のポスターが、ずらり。
見落としのないよう隅々まで目を通します。

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