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『つばさがほしい』

杵屋 淨貢

 江戸中期の浄瑠璃作者の近松半二は、明和3年1766に「本朝二十四孝」で、長尾謙信の娘八重垣姫に「つばさが欲しい 羽根がほしい 飛んで行きた~い」と云わせている。敵方の若君で許嫁の武田勝頼へ恋慕した高貴の姫の、大胆ながら美しいセリフである。
 さて一方で、イギリスの大劇作家シェークスピアは「ロミオとジュリエット」の中で、やはり深窓の姫ジュリエットに同じようなセリフを云わせたり、ロミオに恋の翼を使わせてジュリエットに会わせている。  
  八重垣もジュリエットも悲劇の前に想いを遂げて、それぞれが恋人同士で幸せな時を過ごしている。八重垣よりジュリエットの方が約70年若い存在だが、なにしろ東西はるか遠くに離れた土地での二人の姫が同じような願いを持つとは!!  正に世界はひとつ。なんという素晴らしい歴史を人間達は持っているのだろう。  
  さてそれから約250年後のこの現代の世界、美しい歴史を持つ人間同士として大きな争いを少しでも和らげることは出来ないのだろうか…
 「平和が欲しい」「争いなしが欲しい」…… もういちど云うよ『平和が欲し~~い』…

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創作Q面 創邦11面相
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